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気がつくと部屋が散らかる…片付けのやる気を出すコツ

部屋を綺麗に保ちたいという気持ちはあるのに、気づけば足の踏み場がなくなっている。ADHDの特性を持つ私にとって、片付けは日常生活における永遠の課題です。掃除を始めたはずが、いつの間にか昔のアルバムを読みふけっていたり、別の場所の整理を始めてしまったりして、結局どこも中途半端なまま一日が終わることも少なくありません。こうした経験を繰り返すと「自分はだらしない人間だ」と落ち込んでしまいがちですが、実はこれにはADHD特有の脳の働きが関係しています。今回は、散らかりやすい日常の悩みと、重い腰を上げるための私なりの工夫についてお話しします。

散らかる原因とADHD特有の脳内多動

なぜ意識していないのに部屋が散らかってしまうのか、その理由を考えてみると、ADHDの特性である「不注意」と「ワーキングメモリーの少なさ」に行き当たります。例えば、帰宅してバッグを置くという動作の途中で、ふとスマートフォンの通知が目に入ると、意識は一瞬でスマホに移ってしまいます。すると、バッグを定位置に戻すという本来の目的は脳から完全に消え去り、バッグは床に放置されたままになります。このような「やりかけの放置」が積み重なることで、あっという間に部屋は物で溢れてしまうのです。

また、ADHDの人には「目に見えないものは存在しないものと同じ」という感覚を持つ人が多いと言われています。そのため、物を引き出しやクローゼットの奥に片付けてしまうと、その存在自体を忘れてしまい、必要になった時にまた新しいものを買ってしまうという悪循環も起こりやすいです。私にとって出しっぱなしの状態は、むしろ「どこに何があるか把握するための防衛本能」のような側面もありましたが、それが結果として視覚的なノイズとなり、脳をさらに疲れさせていたことに気づきました。

片付けの途中で脱線してしまう理由

いざ片付けを始めても、完結させるのが難しいのがADHD女子の辛いところです。引き出しを整理している最中に懐かしい手紙を見つけたり、読みかけの本が出てきたりすると、その瞬間に注意がそちらへ過集中してしまいます。気がつくと掃除の手は完全に止まり、一時間以上も読書に没頭していた、というエピソードは私にとって日常茶飯事です。これは脳が新しい刺激に反応しやすく、優先順位をつけることが苦手なために起こる現象です。

さらに、どこから手をつければいいのかという判断が難しいため、部屋全体の惨状を眺めているだけで脳が情報過多に陥り、フリーズしてしまうこともあります。片付けには「捨てる」「分類する」「収納する」という高度な意思決定の連続が必要であり、それが私たちの脳には非常に高い負荷となってのしかかります。その結果、やる気はあるのに体が動かない、というもどかしい状態になってしまうのです。この脱線と停滞の繰り返しが、片付けへの苦手意識をさらに強めてしまう原因となっていました。

無理なく片付けを始めるためのマインドと工夫

こうした困難と向き合うために、最近では「完璧を目指さない」ということを一番大切にしています。まず工夫したのが、片付けのハードルを極限まで下げることです。部屋全体を綺麗にしようとせず、今日はこのテーブルの上だけ、あるいはこのカゴの中だけといった具合に、範囲を極端に狭めて設定します。また、タイマーを十五分だけセットして、その時間内だけは他のことに手を出さないというルールを作るのも効果的でした。締め切りがあることで脳が適度な緊張感を持ち、脱線を防ぎやすくなります。

また、視覚的な情報を整理するために、中身が見える透明な収納ケースを活用したり、ラベルを貼って「住所」を明確にしたりすることも助けになっています。もし片付けの途中で面白いものを見つけても、それを入れるための専用の箱を一つ用意しておき、とりあえずそこに入れて後で見直すというルールを作ると、作業の中断を防げます。何より大切なのは、少しでも床が見えたり、一つでも物を捨てられたりした自分をしっかりと褒めてあげることです。自分の特性を理解し、仕組みでカバーするようにしてから、以前よりも穏やかな気持ちで自分の居場所を整えられるようになりました。