グレーゾーンとは
医療用語ではありませんが、一般的に「グレーゾーン」という言葉が使われています。今回は、この「グレーゾーン」について解説します
グレーゾーンとは?
グレーゾーンとは、「発達障害の傾向は認められるが、診断基準を満たしていない」人の事を指します。現状では認知度の高い「グレーゾーン」が用いられています。ただ、この表現は好ましくない、と言われることもあります。
まるで健常者を白、発達障碍者を黒とみなしているようですし、なにやら白黒はっきりさせなければならないというニュアンスを感じる方もいるからです。それに、症状は白と黒のグラデーションではなく、「この症状はあるけど、この症状はない」など、特性はランダムです。障害の有無を問わず、診断がついていなければ、心療内科へ行ったことのない人も「(限りなく白に近い)グレー」といるでしょう。
医療の場ではスペクトラムと表現することもあるようですが、きれいな虹色のグラデーションというよりは、どちらかというと「マーブル」という表現のほうが的を射ているかもしれません。
診断されないと支援が受けられない
ADHDを例に取れば、診断を受けられなければ投薬療法や自立支援制度の活用ができず、受けられる支援が減ってしまいます。なぜ、「傾向はあるけれど、診断は下せない」という状況になってしまうのでしょうか。
発達障害が他の精神疾患と異なるのは、病名ではなく特性(性格の一部)ということ。極端な話、本人や周囲の工夫で日常生活に支障がなければ、わざわざ診断を確定させる必要がありません。
診断に至らない理由は様々です。医師の専門性の不足から診断に至らない…というシンプルな理由もあれば、特性によっては発現が分かりにくく、問診だけでは「診断基準を満たしていない」と思われるため、見逃されてしまったというケースもあると聞きます。親や本人にとってグレーが「セーフ」という認識があれば、グレーという判断が出るまで医者を乗り換え続ける…というケースもあります。いわゆるドクターショッピングです。
診断のあるなしや年齢にかかわらず、困っている人が適切な支援を受けられるようになるには、まだまだ道のりは長く、私たちも積極的にどうしてほしいのかを訴えていく必要性を感じます。