ナビがあっても迷う?ADHD女子の方向音痴事情
運転免許を取ってから数年、いまだに慣れない道では心細くなることがあります。最新のカーナビやスマホの地図アプリがあれば、どこへでも迷わずに行けるはず。そう思っていた時期もありましたが、ADHDの特性を持っている私にとって、ナビを使いこなすのは意外と高いハードルでした。今回は、文明の利器を頼っているはずなのになぜか迷子になってしまう、ADHD女子ならではの方向音痴事情についてお話しします。
ナビの指示と現実の風景が結びつかない
カーナビは「300メートル先を右です」と正確に教えてくれますが、ADHDの特性がある私の場合、その300メートルという距離感がピンときません。画面上の地図とフロントガラス越しに見える実際の景色を照らし合わせているうちに、気づけば曲がるべき交差点を通り過ぎていることがよくあります。
また、ナビの画面に集中しすぎると前方の注意がおろそかになり、逆に運転に集中するとナビの音声が右から左へと聞き流されてしまいます。複数の情報を同時に処理することが苦手なため、ナビの指示を理解して、適切な車線に変更し、安全を確認しながらハンドルを切るという一連の流れが、脳内パニックを引き起こす原因になるのです。たまにナビが再検索を繰り返すと、自分の現在地がどこなのか分からなくなり、頭の中まで真っ白になってしまうことも珍しくありません。
ワーキングメモリーの限界と情報の取捨選択
なぜナビがあっても迷ってしまうのかを自分なりに分析してみると、ワーキングメモリーの少なさが影響しているように感じます。ナビが示す「この先の複雑な分岐」という視覚情報が入ってくると、それまで覚えていた「目的地までの大まかなルート」がどこかへ消えてしまいます。目の前の情報に注意が奪われすぎてしまい、全体像を把握し続けることが難しいのです。
さらに、ADHD特有の不注意が重なると、ナビが「右です」と言っているのに、なぜか無意識に左にウィンカーを出してしまうといったミスも起こります。これは右と左の判断が瞬時にできない、いわゆる左右盲のような感覚に近いかもしれません。音声案内と視覚情報、そして実際の道路標識という三つの情報を同時に処理しようとして、脳がオーバーヒートを起こしている状態といえます。こうした情報の取捨選択の難しさが、ナビという強力な味方がいてもなお、私を迷子にさせてしまうのです。
迷っても焦らないための心の持ち方と工夫
こうした方向音痴と付き合っていくために、最近ではいくつかのマイルールを設けています。まず一番大切なのは、時間に余裕を持つことです。予定の30分前には到着するように出発すれば、一度や二度道を間違えても「またナビが道を直してくれるから大丈夫」と冷静でいられます。ADHDにとって焦りは最大の敵であり、パニックになると普段以上に注意力が散漫になって事故のリスクが高まるからです。
具体的な工夫としては、ナビの音声案内を最大音量に設定し、視覚よりも聴覚で情報を得るようにしています。また、初めて行く場所の場合は、事前にストリートビューで曲がり角の目印となる看板や建物を写真として記憶しておくのも効果的でした。もし道を間違えても、無理にバックしたり急な車線変更をしたりせず、ナビがリルートしてくれるのを待って、遠回りを受け入れる心の広さを持つようにしています。迷うことを前提にして運転に臨むようになってから、以前よりもずっと楽な気持ちでハンドルを握れるようになりました。